【元公務員が暴く「野田市小四女子虐待死事件」の真相】レビュー

 久し振りのブロガー更新ですなぁ。

 皆様お久しぶりぶりうんこ、北瀬です。

 えー、本日はですね、タイトルにもあるように、本のレビューです。

 この【元公務員が暴く「野田市小四女子虐待死事件」の真相】は、元公務員でフリーライターの尾野里梨氏が、四月に書き下ろした同人誌です。

 今年初めに千葉県野田市で栗原心愛(くりはら みあ)ちゃんが父親に酷い身体的虐待を受け死亡した事件。父親は逮捕されたが、そもそもの原因は子どもを守るべき立場にある教師や、教育行政に携わる者たちの無責任な行動にある。

 心愛ちゃんは学校の先生を信じてSOSを送った。教師たちが誰にも口外しないと言ったから。

 でも、誰にも言わないなんて、無理な話だよね。虐待は発覚したらすぐに通報しなきゃなんないんだから。

 大人の無責任な残酷さが、心愛ちゃんを殺したといっていい。手を下したのは父親だが、この国の現状が、まだ幼い少女を死に追いやったという事実は変わらない。

 この本は、千葉県と野田市の教育委員会の構造やその問題点を、尾野さんはサーチャーとしての才をフル稼働させて資料を読み解き、その闇の深さを浮き彫りにしたものだ。

 私はこの本を読んだとき、地方自治体の中の教育委員会の複雑な組織図に唖然とした。責任の所在が解りづらいのだ。まるで煙に巻くかのように、解りづらい構造になっている。教育委員会といっても、市の教育委員会と県の教育委員会がそれぞれ複雑に絡み合っていて、野田市の事件だからと言って、野田市長がすべての関係者に対して処分を科すことは不可能な構造となっている。

 詳細は本書を読んでいただくとして、年度末の関係者の処分内容にも唖然とする。

 殆ど処分らしい処分を受けていないのだ。何故、そのようなことになってしまっているのか、その辺についても本書で詳しく解説されているので、是非、読んでみて欲しい。

 この本から見えてくるもの。それは、子ども虐待防止策は、行政では全くもって的外れな方策しかとられていないということ、虐待当事者である子どもも、なんとか生き残った虐待サバイバー達も、行政には希望を一切見いだせないということだ。

 でも、かすかではあるが、変えていける可能性はゼロではない。私達にも行政に対してできることはある。そのことについても尾野さんは書かれている。

 当事者がこのまま泣き寝入りの歪んだ社会構造は、当事者の私達自身が変えていくしかない。民間でもやれることは沢山ある。

 だから私も、年に一回ペースではあるものの、子ども虐待防止イベントをクリエイター視点で展開していこうとしている。少しでも多くの人々に知ってもらいたい。日本人の大半は虐待されて育っているという現実を。そして、そんな恐ろしい社会の仕組みを変えていきたいと思う。

 時間はかかる。でも、この国から虐待をなくすことは決して不可能ではない。たとえ絶望の淵に立たされたとしても、そこから巻き返すことは必ずできる。少なくとも、本書にはそのヒントがいくつか見受けられる。

 夜明け前だ。夜明け前が一番闇が深い。

 だが、開けない夜はない。

 私達は同じ過ちを繰り返してはならないのだ。小さな命、私達の大切な未来を守っていこうではないか。

 そのために、小さな場所を作って、子どもを守ろう。

 できることは、沢山あるはずだ。

 まずは、この本をご一読を!

https://note.mu/onosatori2014/n/n5f316a34672a



 

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